パイナップル(育ち方)

パイナップル

【品種名】

パイナップル

【魅力】

クラウン挿し鉢植えのベランダ栽培、ゆるゆるな管理ながらも4年を経て収穫まで至りました。美味しいだけじゃない、育てるのも楽しいのがフルーツなのさ!を実感できる植物です。

「雑な植え方なのによく再生するもんだ」「ああ、私に畑があったなら」「パイナップルってこうやって実がなるの!?」…といった心境を数年かけて味わえます。

【目次】

  1. お世話(水やりなど)
  2. 特徴(花・葉・根など)
  3. 繁殖(種・実生など)

お世話(水やりなど)

【我が家での栽培環境】

春~秋:最上階の屋根無し南向きベランダ。直射日光ゾーンで、遮光なし。雨ざらしですが、風通しは良好です。

冬:最低気温10℃前後を境に室内へ。他の観葉・多肉植物を退避するのと一緒にやってしまいます。部屋の中では、窓際のレースカーテン越しの光があたる場所に置いておきます。

【水やり】

雨ざらしなので週何回というペース配分はありません。晴天が続いて土の表面が乾いたようならやる、という他の露天栽培の植物と一緒の管理です。過湿が苦手なようですが、鉢底石を敷いて、土も水はけの悪いものではなかったので、根腐れは起こしませんでした。

冬は室内退避中とはいえ、盛んに成長しているわけでもないので、鉢の重みで様子を見ながら。大鉢だと月1~2回くらいの頻度に落ちるかもしれません。

【肥料】

春~秋にかけて、白いボーロ状の緩効性化成肥料「グリーンそだちEX」を置き肥として月に1回程度。冬は水やりの頻度が落ちるので新たな肥料は施しません。

【用土】

ブルーベリー(pH5以下)ほどではないものの、本来は酸性土壌が適しているようです。他サイトで紹介されている用土配合を見ると、ピートモスは使わないまでも鹿沼土を主体としています。

私はこれを調べる前に、草花用か、家庭菜園用の市販品(およそpH6.5前後に調整されているのがほとんど)をそのまま使っちゃってました。

【病気と害虫】

栽培期間を通じて、これといった病気・害虫の被害はありませんでした。

【主なメンテナンス】

先が尖ってトゲもついた硬い葉をガンガン伸ばして空間を占拠していきますので、時折葉を切って安全を確保します。多少散髪したぐらいで枯れはしませんのでご心配なく。

切り方は横一文字だと懲罰を受けた感が漂いますので、V字カットがおすすめ。パイナップルらしい威厳は多少残ります。丸みをつけてU字カットにすると優しさも生まれるでしょう。

V字カットの散髪
V字カットの散髪

特に冬越しで屋内に入れるときは鉢の径ほどに強めにカット。切らずに済ませたいものですが、何かに引っ掛けて鉢ごと倒したりして育てる気力が無くなってしまったら、それこそ本末転倒です。

室内退避中のパイナップル(右上) 17年11月上旬
室内退避中のパイナップル(右上) 17年11月上旬

特徴(花・葉・根など)

【開花期】

5月

【花】

南国風の鮮やかな…ではありません、地味です。むしろ、普通はパイナップルの花なんて想像さえしないでしょうから、目にすること自体が良い体験になるでしょう。

まずは次の写真を。固まっている粒のひとつひとつが花で、その集合体がいわゆるパイナップルの実なのだそうです。先端から覗いている淡い紫色のものが花びらですね。

パイナップルの花 20年5月
パイナップルの花 20年5月

どこかで見た事あるなと思ったら、「エアプランツの花」かもしれません。彼らはパイナップルの仲間らしいですよ。あの鮮やかさを奪い取って質量マシマシに魔改造したものがパイナップル、そんなイメージです。

花びらは上下の2枚(よく見ると3枚あるかも)で、細長く突き出します。中には白い柱状のものが。雄しべか雌しべでしょうが、どちらかはわかりません。

花色だけ見れば薄紫で可憐なイメージです。なので粒の形状が隠れてしまう上方向から見ると…優しそうな花が円周状に集まって咲いているかのように錯覚してしまいますね。

パイナップルの花 別の角度から 20年5月
パイナップルの花 別の角度から 20年5月
パイナップルの花 上から 20年5月
パイナップルの花 上から 20年5月

【葉】

鋭い葉先、その近辺に生えているトゲトゲに注意。傍を通ったとき、しゃがみこもうとしたとき、気をつけないと尻や脚に刺さります。アガベやサボテンのような棘ほどではありませんが、不意打ちも相まって痛いです。

もちろん葉自体も頑丈。葉が引っかかったまま強引に歩こうものなら、その力が植物本体へと伝わり鉢ごと倒してしまいます。狭いところで育てているなら「主なメンテナンスの項目」のように長さ調整をするのがおすすめです。

葉先のトゲトゲに注意
葉先のトゲトゲに注意

つまり、こういう感じなんです↓

パイナップル挿し絵1

ほのぼのと植物を愛でる。
じっくり見ようと腰をかがめる。

その背後にパイナップルの鉢があったら?
そのアクションがやばい。

パイナップル挿し絵2

刺さるんだ、尻に。
実態は自分から接触しているわけですが。

パイナップル挿し絵3

ほのぼの気分から一転するので、
「パイナップルが刺してきた」
と思えるでしょう。

狭いベランダで大きな植物を育て、
葉が鋭ければ、お察しくださいですよ。

パイナップルの近くでは正対して行動し、
常に気にかけてあげましょう。
彼、妬きますから。

【根の広がり・鉢の形状】

写真が全く残っていませんでした。どちらかというとひげ根タイプだったように記憶しています。

鉢は一貫してロングタイプを使いました(主に余ってたという理由で)。後述するように、実をつけるためには8号クラス以上の大株に育つ必要があるようなので、手持ちになければ準備しておきましょう。

繁殖(種・実生など)

【クラウン挿し】

事の発端はここから。パイナップルを食べるときの、いつも捨ててしまう葉の部分(クラウン)を鉢に植えると育つということを聞いて、物は試しにやってみました!

手に取ったのは近所のスーパーで売っていた1玉。数百円でした。品種や産地さえ覚えておりません。

この部分がクラウン 16年5月
この部分がクラウン 16年5月

果肉の部分は普通に食べます。で、このクラウンの部分は実が残らないように下葉を何枚か剥ぎ取り、1日半くらい乾燥。これを余っていた土や鉢を使って植え込みます。2週間ほど室内に置いてからベランダに出しました。

クラウン挿し直後 16年5月
クラウン挿し直後 16年5月

2ヶ月後、中心部の葉が伸びています。下葉の傷みからこのまま枯れるだろうと思っていたところ、植え込み時の写真と比較してはじめて成功していたことに気づきました。

ちょっと葉が伸びた 16年7月
ちょっと葉が伸びた 16年7月
その後植え替えて成長に勢いが出る 16年8月
その後植え替えて成長に勢いが出る 16年8月

そしてクラウン挿しから14ヶ月(たった約1年)で、幅約80cmに広がりました。ベランダの真ん中に置いたらとても歩けません。「ここはおれの領土な~♪」とご満悦な王様の如し。

夏なのに若干成長が鈍いと思ったら早くも根詰まりしていたので、6号→9号へ3段飛びで鉢増ししています。(実をつけるには8号以上は必要らしいです)

ベランダが占領される 17年7月
ベランダが占領される 17年7月

その後2年間は、「主なメンテナンスの項目」にあるように散髪の繰り返し。18年には大きな台風にその強情な葉で立ち向かったらしく、去った後に見たら傾いていました。支柱を立てたところ無事復活。たくましいものです。

そして20年の3月。葉の中心部にいつもと違う密集した葉先を発見。どうやら実のクラウンとなる部分のようでした。

実のクラウンになる部分が現れた 20年3月
実のクラウンになる部分が現れた 20年3月
パイナップル…になりそう! 20年4月
パイナップル…になりそう! 20年4月

日を経るにつれて茎が伸び…毒々しい感じもする実の原型になっていきます。

ちょっと凶悪な姿に変貌 20年5月
ちょっと凶悪な姿に変貌 20年5月
全体像 20年5月
全体像 20年5月

もちろん花が咲きます。粒々の先から伸びている紫色のものがそうです。異なる角度の写真は「花の項目」も参照してください。

特に受粉などはせずそのまま放置。花が終わると、基部にあたる粒々がムキムキに肥大してきて全体的にボール状となり、よく見かけるパイナップルの姿になります。こんな形で実をつける植物だったんですね!

パイナップルの花 20年5月
パイナップルの花 20年5月
いわゆるパイナップルらしい姿へ 20年7月
いわゆるパイナップルらしい姿へ 20年7月

【収穫】

濃い緑色の果実が黄色くなったら収穫です。黄色くなり始め~全体が染まるまでの期間はごく短いので、色づき始めたら毎日チェックした方がよさそうです。

収穫の頃合いになると、実からパイナップルの香りがしてきます。私はそんなに鼻の効きがよくないのですが、それでもわかるくらいでしたよ。

少し色づいた 20年9月18日
少し色づいた 20年9月18日
1日でかなり黄色くなった 20年9月19日
1日でかなり黄色くなった 20年9月19日
これぞパイナップルイエロー! 20年9月21日
これぞパイナップルイエロー! 20年9月21日

いざ収穫です!茎を剪定ハサミでバチンと切断。売り物に比べたら小ぶりで、クラウンの葉が立派過ぎますが、初めての栽培なのでそんなことはどうでもいいですね。お金を払って買ったのではなく、長い年月を共に過ごして手にした果実、というところが栽培の醍醐味です。

握りこぶしより一回り大きいくらいのサイズ 20年9月21日
握りこぶしより一回り大きいくらいのサイズ 20年9月21日
実のクラウンを上から 20年9月
実のクラウンを上から 20年9月

クラウンを取り除いた果実部分の重さは583g。小さくても色は鮮やか、味は売られているものと変わらず、ジューシー&スイート。切ってみた様子をご覧ください。

切る前に測量 20年9月
切る前に測量 20年9月
まずは両断 美しい黄色 20年9月
まずは両断 美しい黄色 20年9月
食べやすい大きさにカット 20年9月21日
食べやすい大きさにカット 20年9月21日

一回で食べきれる程度の量でしたが、一切れ口に含むごとに走馬灯のように思い出が湧き上がってきてですね…。そう、ここまで書き綴ってきたこと全てが。文字に起こしてもいないこの株との日々の出来事さえも、です。

しみじみと味わいながら食べました。悲しいと言っているのではありませんよ。初めての栽培で雑な管理だったにもかかわらず、長い歳月を経て実をつけたわけです。こういうのをね、「ありがとう」って言うんです。

【株分け】

収穫時に果実のついた茎を切ってしまうことになりますが、パイナップルの幹には脇芽が生えてくることがあり、これをそのまま育てると、そこにまた実がつくそうです。(ただ、年々小さくなるらしい)

幹につけたままではなく、脇芽をもぎ取って植え付けるという方法で増やすことができ、この場合だとクラウン挿しよりも早く結実するそうです。

我が家では今回の栽培で終わりにしましたが、増やせるスペースをお持ちの方はやってみる価値があると思いますよ。

脇芽が生えてきた様子 20年8月
脇芽が生えてきた様子 20年8月

トップページへ戻る

↓ハートを押して「いいね」いただけると励みになります!