豹紋(育ち方)

豹紋

【品種名】

豹紋 「ひょうもん」
(レデボウリア ソシアリス ビオラセア)

【魅力】

シルバーの地にグリーンの点々をもつ、まだら模様がカッコイイ球根植物。お店では多肉や観葉と一緒に売られていることが多いです。

球根とはいえ大部分が地表に出ているので、コロコロした丸さを愛でるもよし、紫色の地肌のムキムキ加減に力強さを感じるのもよし。

やや葉が傷みやすいものの、本体はかなり頑丈。繁殖力は高く、増えた球根たちが一斉に花をつける様子は、まさに「エネルギーのかたまり」です。

【目次】

  1. お世話(水やりなど)
  2. 特徴(花・葉・根など)
  3. 繁殖(種・実生など)

お世話(水やりなど)

【我が家での栽培環境】

夏以外:通年、最上階の南向きベランダで雨よけの中。日当たり・風通し良好。
夏:雨よけに白い寒冷紗をかけるほかは変わらず。

0℃前後まで耐えるようなので、屋外越冬させています。雨ざらしであっても問題ないようです。ただし比較的暖かく乾燥した東京でのことなので、日本海側ではわかりません。

雪もかぶりながら屋外越冬 19年2月
雪もかぶりながら屋外越冬 19年2月

ただし屋外越冬の場合、色がくすんだ感じの傷みのある葉が1~2枚程度しか残らない状態になります。花芽がつく時期も室内退避に比べてやや遅れます。

室内に入れると葉数は幾分多めで美しい葉色を保てますが、光量確保が難しいので徒長や模様の変化に注意しましょう。「葉の項目」もご参照ください。

屋外越冬中の様子
屋外越冬中の様子
室内退避中の株 葉色がよい
室内退避中の株 葉色がよい

【水やり】

およそ1週間に1回の頻度。鉢がまだ重く感じられれば数日後、または翌週回し。

雨ざらしにした場合、晴天続きで球根のシワがひどいときに水やりするくらいです。降雨が続いても、風通しと水はけがよければ腐りません。

ただし夏はさすがに乾燥が早いので、様子を見る頻度を多めにしましょう。毎日カラカラになるようであれば、水やりもほぼ毎日します。

【用土・肥料】

用土・肥料ページの多肉植物グループに詳しく記載してありますので、ご参考ください。

軽石を多く含みジャリジャリした感じの土でも育てたことがあり、生育には問題ありません。ただあまりに水持ちしないので、夏場の高温下では水切れで葉先が傷みやすかったです。

【病気と害虫】

これといった病気・害虫にかかったことはありません。念のため、他の植物の害虫予防のついでにハダニ退治スプレーや「オルトランDX粒剤」を撒いています。

【主なメンテナンス】

萎れた下葉を取り除く程度で、ほぼ手がかかりません。乾いてパリパリしている球根の外皮はそのままにしておいて大丈夫です。

特徴(花・葉・根など)

【開花期】

4~5月頃

【花】

2月頃から、トウモロコシのような花芽が球根中心の成長点から伸びてきます。花茎は10cm程度にまで達し、先端に10~20個のつぼみがつきます。次第にそれぞれが下を向いてきて開花に至ります。

花は小さく直径5mmほどで、6枚の花びらには縦に緑の筋が入っています。おしべの柱は淡い紫、先端のヤクは薄い黄色。やさしいパステルカラーですね。

豹紋の花
豹紋の花

花は球根の新旧・大小に関係なく、ほとんどの球根につきます。地味ではあるものの、群生状態ならエネルギッシュな姿となります。

実生1年目でも十分に育てば花を見ることが可能。また花穂は通常1本ですが、2本目が出てくることもあります。

2号鉢 実生2年目株(トップ画像は同株の1年目)
2号鉢 実生2年目株(トップ画像は同株の1年目)
4号鉢 球根という球根に花がつく
4号鉢 球根という球根に花がつく

【葉】

日当たり具合で次に出てくる葉のまだら模様の強弱が変わります。

強光だとグリーンの点々が小さく、地のシルバーの面積が広くなります。光が弱くなるにつれて点々は拡大し、つながっていきます。

強光=点々が小さい
強光=点々が小さい
弱光=点々が大きい
弱光=点々が大きい

日光が強い方が豹紋らしい葉になりますが、強すぎて水切れを起こし葉を傷める可能性も高まります。さりとて弱すぎると徒長します。

用意できる環境の中で、最も美しいと思うまだら具合になる置き場所を見つけてあげてください。素直に反応してくれますし、頑丈な植物ですので試行錯誤にも耐えてくれるでしょう。

【根の広がり・鉢の形状】

ひげ根タイプですが、本数はそれほど多くありません。深いとも浅いとも言えない広がり方をするので、鉢の形状を気にする必要はなさそうです。

群生の見ごたえの観点からは、プランターなど面積が広い鉢に何株か配置するのがおすすめ。子球は四方八方に発生するため、株間をやや離した方が互いに干渉しにくくなります。

実生苗の根
実生苗の根

繁殖(種・実生など)

【受粉】

屋外置きの状況なら、風か虫かで自然と受粉しているようです。あえて実施する場合は綿棒などで、面倒なら指でも。雄しべ・雌しべ共に完全に露出しているのでそれほど苦労しません。

なお自家受粉でも結実し(それほど多くはないですが)、その種もちゃんと発芽します。なので一株しか持っていなくても実生に挑戦できます。

【種】

受粉に成功すると球形の実がつき、5mmくらいまで大きくなります。実の下部が黒味を帯びてきたら採取してOK。乾燥させると実の皮が弾け、1~4個の種が得られます。種はアサガオに似た黒い半月形です。

受粉して実がついた様子
受粉して実がついた様子
採れた種
採れた種

【実生・種蒔き~約2ヶ月後】

2018年採取の種での記録です。

種は採り蒔き(採取後1ヶ月以内)。保管中に乾燥し痩せていたので、半日ほど事前に水につけておいたところ膨らみが戻りました。

その状態で種蒔き用の土にふせ、風で飛ばないよう覆土は5mmほど施し、ベランダの日陰で乾燥しないよう水やりを続けます。
7/1 種蒔き 29個
7/8 発芽 14個(下の写真はこの時点)
7/14 発芽 計26個 発芽率約90%

発芽の様子
発芽の様子

発芽直後の状態を並べてみると…じっくり太るわけではない!いきなり球根です!

発根してすぐに根の下方が膨らみ始めています。そして丸みを帯びる頃から根の上方に葉先が現れ、球根本体は色づいてきます。

早いもので1週間で一番右の状態になります。

発芽後、球根らしくなる様子
発芽後、球根らしくなる様子

種蒔きから2週間でだいたい1枚目の葉が出そろいます。日陰のため緑色が強いですが、このあと光が当たる場所に移動して銀色の葉を出させます。

種蒔きから2ヶ月後(=9月)には葉が3枚となり、まだら模様も現れてきます。

1枚目の葉 種蒔きから2週間後
1枚目の葉 種蒔きから2週間後
葉は3枚 種蒔きから2ヶ月後
葉は3枚 種蒔きから2ヶ月後

なお、こぼれ種や付近の鉢に放り投げておいた種でも発芽します。マルチバークの奥底に転がり込んだ種は発芽しなかったので、いくらか光が必要なタイプかもしれません。

土の粒々の間に挟まってる感じがいいんでしょうね、きっと。

【実生・約2ヶ月後~花芽がつくまで】

前年17年にこぼれ種で1つ発芽。これが初めての実生でした。約2ヶ月後以降の様子は彼の記録をどうぞ。

こぼれ種での発芽 17年7月
こぼれ種での発芽 17年7月

小さいうちは乾燥に弱いので水をこまめに。10月の植え替え時は、受け皿に水を張って、そこに抜いた苗を浸しながら作業しました。

11月にはプロペラのように葉が十字方向に展開、球根が直径約1cmに成長。

翌年3月には分球も始まり、4月に花芽がつき、6月には2本目の花芽も出て、球根は直径約2cmという、約1年で十分な大人に育ちました。

このページに載せてある、茶色い8角形の鉢にいる豹紋は、全てこの個体です。

こぼれ種の個体 17年11月
こぼれ種の個体 17年11月
こぼれ種の個体 早くも分球し始める 18年3月
こぼれ種の個体 早くも分球し始める 18年3月
こぼれ種の個体 中央は2本目の花芽 18年6月(発芽から約1年)
こぼれ種の個体 中央は2本目の花芽 18年6月(発芽から約1年)

このように簡単に増えます。次の写真のように年を経ればさらに加速します。

左上の茶色い鉢:17年こぼれ種個体(発芽から約2年)
下のトレー:18年実生群(発芽から約1年)
右上の白い鉢:17年に球根3個を植えたもの(植付けから約2年半)

繁茂する豹紋 19年9月
繁茂する豹紋 19年9月

【分球】

元気に増える子球。通常は親球の根元から頭を出しますが、次の写真のように、親の外皮の内側に発生することもよくあります。

親の外皮の内側に生じた子
親の外皮の内側に生じた子
外皮をわざと剥いでみた様子(右が外皮)
外皮をわざと剥いでみた様子(右が外皮)

タマネギ型の親球がいびつに膨らんできた場合は、その内側に子ができています。異常ではないのでご心配なく。

子がいる部分の皮は、通常のムキムキした紫色ではなく茶灰色の乾燥した皮になっていきます。子球は最終的にそれを突き破って登場します。

さて、実際に分球です。

球根に根をつけた状態で分割できれば問題なく根付くでしょう。では根が無い状態では発根に至るのか、チャレンジです。

根無し球根 19年9月
根無し球根 19年9月
根無し球根を植えたところ
根無し球根を植えたところ

挿し芽などにも使える種蒔き用の土を使い、表面は小粒の軽石等で覆いました。

しかし、倒れないよう埋め気味したのが良くなかったのか、水やりが多くて危機感が湧かなかったのか。1ヶ月経過するも、まったく変わり無し。

親球のようにお尻だけ土に触れている状態にし、水も少し控えてさらに1ヶ月待ったところ、ようやく1つが発根しました。

発根の様子 19年11月
発根の様子 19年11月

この時点で既に秋が深まっており、これ以上の伸長は一旦おあずけ。冬は暖かい日を選んで水やりを継続しました。

春に改めて様子を見ると、秋に発根した球根は堅調。未発根の方も痩せ細りながら冬越しし、発根も確認できました。おそらく気温が上がって活動再開したのでしょう。温度は大事ですね。

秋に発根済(左) 冬を越しての発根(右) 20年4月
秋に発根済(左) 冬を越しての発根(右) 20年4月

あまり土に埋めない、乾かし気味にする、ちょっと多肉の発根のようではありますが…よく考えてみれば、もともと地表に出ている球根植物です。

自然界でも何かの衝撃で子球がちぎれ転がっていったとしたら、子球はそんな状況に置かれたうえで発根するわけですよ。なるほどなぁ、と思いますね。

トップページへ戻る

↓ハートを押して「いいね」いただけると励みになります!