なるほど柱(育ち方)

なるほど柱

【品種名】

サボテン なるほど柱 (珍宝閣)

【魅力】

表面がつるっとしているトゲ無しサボテン。突然変異でこんな姿になってしまったそうです。

アレに似ていますかね? はい、英名はまさにそんな名前がついています。和名も言い得て妙。じっくり見ていると「なるほど、この力強いインパクトはそれに通じているのかも」と思えてきます。

トゲに頼らず生きることを決意、身体を鍛えてノーガード戦法。潔くもどこかヘンな、愛嬌あるサボテンです。

【目次】

  1. お世話(水やりなど)
  2. 特徴(花・葉・根など)
  3. 繁殖(種・実生など)

お世話(水やりなど)

【我が家での栽培環境】

春~秋:最上階の屋根無し南向きベランダ。直射日光ゾーン(夏のみ白い寒冷紗)、「自作の雨よけ花台」の中、風通し良好。(日差しは午前中~午後一くらいまでで、それ以降は日陰となり西日は当たりません)

冬:最低気温5℃前後を境に室内へ。窓際のレースカーテン越しの光があたる場所です。

【水やり】

数週間に1回程度。鉢底から流れ出るくらい与えます。軽いプラ鉢だった頃は持ち上げた時の重さで乾燥具合を確認していました。

現在は陶器鉢で重さがわかりにくいので、表面のシワが深くなるのを目安に実施。水やりの数日後にはパンパンに満ちた状態に復活します。

シワが深くなった様子
シワが深くなった様子

【肥料】

特に与えていません。

【用土】

軽石べースのサボテン用土にパーライトを多めに入れて排水性を強化。とてもジャリジャリした感触の土です。

【病気と害虫】

害虫の被害は特にありません。ハダニが表面を走っていることがありますが、吸汁された形跡は見当たらないです。

病気は購入直後に黒斑病らしきものかかってしまいました。褐色~灰色で表面が硬化したカサブタ状のものが広がり、放っておくと黒くなって腐敗します。

当初、雨ざらしにしていたためか病気が早く進行しました。それから雨には絶対に当てないようにしています。

口元やや下の病斑部 18年8月上旬
口元やや下の病斑部 18年8月上旬
病斑部の拡大 18年8月中旬
病斑部の拡大 18年8月中旬

変なところで木質化するなと思っていましたが、この後に黒変して病気であることが明らかな状態になります。

腐敗 少し押すと汁が出る 18年8月下旬
腐敗 少し押すと汁が出る 18年8月下旬
根元の小さな病斑 拡大しつつあり
根元の小さな病斑 拡大しつつあり

病変が根に及んでいるか、原因が土にもあるのかわからないので、鉢から抜き、病変部を全て切除、根を切り、土は全廃して、新しい土に植えなおすことにしました。

切れ味のよいナイフを用意し、刃を火であぶって消毒、冷ましてから病変部をえぐりとります。なるべく断面はきれいになるように。

あまり進行していない小さな病変部は、表層のみにかたまる良性腫瘍のようでした。腐敗の入った大きな患部はそんなこともなく、健全な色が見えるまでひたすら掘り続けます。

周囲にぐるっと刃を入れる
周囲にぐるっと刃を入れる
小さな病変部は表面に固まっている
小さな病変部は表面に固まっている
根は完全に切断 一部分からしか根は出ていなかった
根は完全に切断 一部分からしか根は出ていなかった

切除は全身にわたり10ヶ所近く。あまりにも徹底的に行うと処置のダメージが大きくなるので、広がりそうにない本当に小さなものはそのまま残しました。

その後は殺菌剤「ベンレート水和剤」の溶液を全身にかけ、新たな病気を予防します。日陰で1~2日間乾燥してから、新しい用土に植え付けます。

発根を待つため、水やりは2週間程度あけてから。念のため初回の水にも同じ殺菌剤を混ぜておきました。

目立つ患部を除去し終わった状態
目立つ患部を除去し終わった状態
日陰で乾燥中
日陰で乾燥中

これで一連の処置は終了。1ヶ月後、回復力は目を見張るものがあります。さすがに緑色は戻りませんが、窪みを埋めるように肉が盛り上がってきています。

一番大きな患部は再発していました。成長点に近いため切り取り量を加減したのが仇になったようです。健全に見えるところも少し削るくらいに改めて切除しました。

やや大きめの切除痕 窪みは浅くなりつつある 18年9月下旬
やや大きめの切除痕 窪みは浅くなりつつある 18年9月下旬
最大の患部 切り口周囲から再発のため2回目の切除を実施
最大の患部 切り口周囲から再発のため2回目の切除を実施

さらに1ヶ月後。小さな切除痕は、むしろ切る前より高くなるほどガッチリと埋め合わされました。一番大きな箇所も3度目の再発はなく、きれいに固まっています。

肉が盛り上がる様子 18年10月中旬
肉が盛り上がる様子 18年10月中旬
2回目の切除痕 両側に広がるように肉がつくため割れる?
2回目の切除痕 両側に広がるように肉がつくため割れる?

【病気と害虫 1年後】

その後雨に当てないよう、水を与えすぎないよう管理。病気の進行はほぼ見られず、無事1年を迎えることができました。硬く乾燥して入ったひび割れに、生き抜いた貫禄さえ感じますね。

最も大きな傷跡 19年8月
最も大きな傷跡 19年8月
根元の小さな切除痕
根元の小さな切除痕

さらに1年後の20年8月、再発してしまいました。以前の傷から広がったわけではなく、カサブタ状のごく小さなもののひとつが病気へと進行したようです。

同様の処置を行って生存はしていますが、これまでの発症時期を見ると夏の盛りが危ない!と思われます。できるだけ毎日様子を見てあげた方がいいでしょう。

【病気と害虫 おわり】

ため息が出ます、8月は魔の月でございます。21年8月も発病、20年の時より程度がひどく、黒ずみは以前の傷跡だけでなく地表との境にも見受けられたので、思い切って引き抜きました。

やはり根元も侵されており、えぐれた状態になっていました。部分的に治癒したらしき痕もありましたが、軽く押すと汁が出てくる進行中の箇所もあり…行いたくはなかったものの胴切りを断行。

またもや再発 21年8月下旬
またもや再発 21年8月下旬
根元もやられていた 21年8月下旬
根元もやられていた 21年8月下旬

消毒した果物ナイフで一思いにスパッと切断。もはや傷がないところがないなるほど柱ですが、断面はまあまあキレイなんですよね…。他のサボテンの胴切りを参考に切り口は台形に整えました。

そしてお決まりのベンレート水和剤を浴びせます。乾燥は、外は極端に暑く、雨もたまに降るので室内で行うことにしました。前回は根切り状態だったので一定期間の乾燥後に植え付けましたが、今回はもともと根が無かった場所を胴切りしたので、発根するまで待つことに。

乾燥中の姿はとても既視感ありありです。前もこんなことあったよな、と。だいぶ短くなってしまいましたけどね。

胴切り 21年8月下旬
胴切り 21年8月下旬
室内で乾燥中 21年8月下旬
室内で乾燥中 21年8月下旬

乾燥し始めて1週間後、胴切りの傷口は問題なく乾いてきたものの、ほかの術痕の際から再々発。この濃い緑色、黒い病変、汁、見るのは何度目でしょう。改めて患部切除をしましたが、背中を全部剥いだような状態にせざるを得ませんでした。地獄で罪人が受ける仕打ちにこんなのがあったような気がします…。

がんばれ、なるほど柱。

再々発 黒い汁も 21年8月下旬
再々発 黒い汁も 21年8月下旬
さらに切り直し 21年8月下旬
さらに切り直し 21年8月下旬
比較的傷が少ないのはこの腹側のみ 21年9月上旬
比較的傷が少ないのはこの腹側のみ 21年9月上旬

乾燥がひと段落したら、改めて根が出るのを待ちます。立てておいた方がいいかなと思って、ワイヤーネットのカゴと緩衝材のティッシュを使い、次の写真のように放置。

胴切りから1ヶ月程度経っても様子に変化なく、やはり土への接触刺激も欲しいのかなと考え、2号鉢に種蒔きの土を詰めてそこに切断部を載せるようにして再度放置。これでも変化なく、そうこうするうちに冬が到来しました。

以降は立てて放置 21年9月上旬
以降は立てて放置 21年9月上旬

年が明けて季節は春に。驚いたことに、さすが水をため込むサボテンです。胴切りして半年しても干からびてしまうことなく、生きていると思われる緑色をしていました。痩せてきてはいますけど、耐えているんだという感じ。

底面を見ると、若干ポコッと根の先端のようなものが出ているような出ていないような亀裂を発見。これが伸びてくれるといいなと期待しつつ、たまに土を湿らせてみたり。しかしそれ以降反応は無いのでした。

発根しかけ? 22年5月中旬
発根しかけ? 22年5月中旬

何だかんだで胴切り翌年の夏がやってきた22年7月。まもなく1年です。室内は私が過ごしやすいよう冷房を入れてしまっているので、温度も必要かと考え置き場を外に変えました。

そしてこのタイミングで長雨!強風とのコンボがあったのかもしれません。雨よけの下に置いていたものの全体にカビが生えてしまい、見るからにこれはもうダメだと判断。我が家に来て4年弱の栽培記録の幕を閉じることにいたしました。

なるほど柱よ、さらば! 来て早々闘病生活になってしまいましたが、生きようとする力を常に感じさせてくれました。他のサボテンや多肉植物は普通に過ごせているのですが、我が家のベランダの何かが合わなかったんですね…。

【主なメンテナンス】

まっすぐ伸びてもらうために鉢回し以外は特にありません。

特徴(花・葉・根など)

【葉】

ほぼトゲ無しですが、生えることもあるようです。我が家の株のトゲは土の中に隠れており、植え替えの時に発覚しました。

なお近くに子株と思われる突起があり、シミか汚れかわかりませんが、配置がちょうど人間の顔のようになっていました。こんなところにネタを隠していたなんてね…。

子株の…顔?
子株の…顔?

成長速度はとても遅いです。育て始めて2年経過しても伸びた感じが全くしません。気持ち太くなったかな?という程度です。傷口が埋まったり、発根することから生きていることはわかるんですが…。

伊豆シャボテン公園の温室にも植えられていました。わずかにトゲが残る様子、表面の傷跡、群生の様子をご覧ください。一本だとアレですが、たくさん生えると普通にサボテンだな、という印象です。

立派な大株ですが、ここまで育つのに何年かかるんでしょうね?

伊豆シャボテン公園のなるほど柱1 19年10月中旬
伊豆シャボテン公園のなるほど柱1 19年10月中旬
伊豆シャボテン公園のなるほど柱2
伊豆シャボテン公園のなるほど柱2

なお損傷によるものではなく単に土に埋まってた部分は、日が当たるようになると緑色が復活するみたいです。次の写真は、植え替えによって地表に露出した根元間際。次第にペリペリと薄皮が剥がれるようになり、下から覗いたのは地上部と同じ緑色でした。

ペリッと剥がれて現れる緑 21年6月下旬
ペリッと剥がれて現れる緑 21年6月下旬

【根の広がり・鉢の形状】

もじゃもじゃなひげ根。それほど深く伸びるわけでもなさそうです。購入後の鉢の中は鉢底石が多めでした。重しや乾燥気味にするためだと思われます。

鉢底石が比較的多い 18年8月下旬
鉢底石が比較的多い 18年8月下旬
根切り約9ヶ月後の発根量 19年5月中旬
根切り約9ヶ月後の発根量 19年5月中旬

軽いプラスチックのロング鉢は、非常に倒れやすくなるのでご注意を。病気処置の際は根を全て切ったため傾いてしまい、他の鉢で支えないと危ない状態になってしまいました。

19年5月には重量級の陶器鉢に植え替えました。抜群の安定感はサボテンの力強さを引き立たせますのでオススメです。

強烈な傾き 19年5月
強烈な傾き 19年5月
重量のある陶器鉢 19年5月
重量のある陶器鉢 19年5月

繁殖(種・実生など)

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