【品種名】
サボテン なるほど柱 (珍宝閣)
【魅力】
表面がつるっとしているトゲ無しサボテン。突然変異でこんな姿になってしまったそうです。
アレに似ていますかね? はい、英名はまさにそんな名前がついています。和名も言い得て妙。じっくり見ていると「なるほど、この力強いインパクトはそれに通じているのかも」と思えてきます。
トゲに頼らず生きることを決意、身体を鍛えてノーガード戦法。潔くもどこかヘンな、愛嬌あるサボテンです。
【目次】
お世話(水やりなど)
【我が家での栽培環境】
春~秋:最上階の屋根無し南向きベランダ。直射日光ゾーン(夏のみ白い寒冷紗)、「自作の雨よけ花台」の中、風通し良好。(日差しは午前中~午後一くらいまでで、それ以降は日陰となり西日は当たりません)
冬:最低気温5℃前後を境に室内へ。窓際のレースカーテン越しの光があたる場所です。
【水やり】
数週間に1回程度。鉢底から流れ出るくらい与えます。軽いプラ鉢だった頃は持ち上げた時の重さで乾燥具合を確認していました。
現在は陶器鉢で重さがわかりにくいので、表面のシワが深くなるのを目安に実施。水やりの数日後にはパンパンに満ちた状態に復活します。
【肥料】
特に与えていません。
【用土】
軽石べースのサボテン用土にパーライトを多めに入れて排水性を強化。とてもジャリジャリした感触の土です。
【病気と害虫】
害虫の被害は特にありません。ハダニが表面を走っていることがありますが、吸汁された形跡は見当たらないです。
病気は購入直後に黒斑病らしきものかかってしまいました。褐色~灰色で表面が硬化したカサブタ状のものが広がり、放っておくと黒くなって腐敗します。
当初、雨ざらしにしていたためか病気が早く進行しました。それから雨には絶対に当てないようにしています。
変なところで木質化するなと思っていましたが、この後に黒変して病気であることが明らかな状態になります。
病変が根に及んでいるか、原因が土にもあるのかわからないので、鉢から抜き、病変部を全て切除、根を切り、土は全廃して、新しい土に植えなおすことにしました。
切れ味のよいナイフを用意し、刃を火であぶって消毒、冷ましてから病変部をえぐりとります。なるべく断面はきれいになるように。
あまり進行していない小さな病変部は、表層のみにかたまる良性腫瘍のようでした。腐敗の入った大きな患部はそんなこともなく、健全な色が見えるまでひたすら掘り続けます。
切除は全身にわたり10ヶ所近く。あまりにも徹底的に行うと処置のダメージが大きくなるので、広がりそうにない本当に小さなものはそのまま残しました。
その後は殺菌剤「ベンレート水和剤」の溶液を全身にかけ、新たな病気を予防します。日陰で1~2日間乾燥してから、新しい用土に植え付けます。
発根を待つため、水やりは2週間程度あけてから。念のため初回の水にも同じ殺菌剤を混ぜておきました。
これで一連の処置は終了。1ヶ月後、回復力は目を見張るものがあります。さすがに緑色は戻りませんが、窪みを埋めるように肉が盛り上がってきています。
一番大きな患部は再発していました。成長点に近いため切り取り量を加減したのが仇になったようです。健全に見えるところも少し削るくらいに改めて切除しました。
さらに1ヶ月後。小さな切除痕は、むしろ切る前より高くなるほどガッチリと埋め合わされました。一番大きな箇所も3度目の再発はなく、きれいに固まっています。
【病気と害虫 1年後】
その後雨に当てないよう、水を与えすぎないよう管理。病気の進行はほぼ見られず、無事1年を迎えることができました。硬く乾燥して入ったひび割れに、生き抜いた貫禄さえ感じますね。
さらに1年後の20年8月、再発してしまいました。以前の傷から広がったわけではなく、カサブタ状のごく小さなもののひとつが病気へと進行したようです。
同様の処置を行って生存はしていますが、これまでの発症時期を見ると夏の盛りが危ない!と思われます。できるだけ毎日様子を見てあげた方がいいでしょう。
【病気と害虫 おわり】
ため息が出ます、8月は魔の月でございます。21年8月も発病、20年の時より程度がひどく、黒ずみは以前の傷跡だけでなく地表との境にも見受けられたので、思い切って引き抜きました。
やはり根元も侵されており、えぐれた状態になっていました。部分的に治癒したらしき痕もありましたが、軽く押すと汁が出てくる進行中の箇所もあり…行いたくはなかったものの胴切りを断行。
消毒した果物ナイフで一思いにスパッと切断。もはや傷がないところがないなるほど柱ですが、断面はまあまあキレイなんですよね…。他のサボテンの胴切りを参考に切り口は台形に整えました。
そしてお決まりのベンレート水和剤を浴びせます。乾燥は、外は極端に暑く、雨もたまに降るので室内で行うことにしました。前回は根切り状態だったので一定期間の乾燥後に植え付けましたが、今回はもともと根が無かった場所を胴切りしたので、発根するまで待つことに。
乾燥中の姿はとても既視感ありありです。前もこんなことあったよな、と。だいぶ短くなってしまいましたけどね。
乾燥し始めて1週間後、胴切りの傷口は問題なく乾いてきたものの、ほかの術痕の際から再々発。この濃い緑色、黒い病変、汁、見るのは何度目でしょう。改めて患部切除をしましたが、背中を全部剥いだような状態にせざるを得ませんでした。地獄で罪人が受ける仕打ちにこんなのがあったような気がします…。
がんばれ、なるほど柱。
乾燥がひと段落したら、改めて根が出るのを待ちます。立てておいた方がいいかなと思って、ワイヤーネットのカゴと緩衝材のティッシュを使い、次の写真のように放置。
胴切りから1ヶ月程度経っても様子に変化なく、やはり土への接触刺激も欲しいのかなと考え、2号鉢に種蒔きの土を詰めてそこに切断部を載せるようにして再度放置。これでも変化なく、そうこうするうちに冬が到来しました。
年が明けて季節は春に。驚いたことに、さすが水をため込むサボテンです。胴切りして半年しても干からびてしまうことなく、生きていると思われる緑色をしていました。痩せてきてはいますけど、耐えているんだという感じ。
底面を見ると、若干ポコッと根の先端のようなものが出ているような出ていないような亀裂を発見。これが伸びてくれるといいなと期待しつつ、たまに土を湿らせてみたり。しかしそれ以降反応は無いのでした。
何だかんだで胴切り翌年の夏がやってきた22年7月。まもなく1年です。室内は私が過ごしやすいよう冷房を入れてしまっているので、温度も必要かと考え置き場を外に変えました。
そしてこのタイミングで長雨!強風とのコンボがあったのかもしれません。雨よけの下に置いていたものの全体にカビが生えてしまい、見るからにこれはもうダメだと判断。我が家に来て4年弱の栽培記録の幕を閉じることにいたしました。
なるほど柱よ、さらば! 来て早々闘病生活になってしまいましたが、生きようとする力を常に感じさせてくれました。他のサボテンや多肉植物は普通に過ごせているのですが、我が家のベランダの何かが合わなかったんですね…。
【主なメンテナンス】
まっすぐ伸びてもらうために鉢回し以外は特にありません。
特徴(花・葉・根など)
【葉】
ほぼトゲ無しですが、生えることもあるようです。我が家の株のトゲは土の中に隠れており、植え替えの時に発覚しました。
なお近くに子株と思われる突起があり、シミか汚れかわかりませんが、配置がちょうど人間の顔のようになっていました。こんなところにネタを隠していたなんてね…。
成長速度はとても遅いです。育て始めて2年経過しても伸びた感じが全くしません。気持ち太くなったかな?という程度です。傷口が埋まったり、発根することから生きていることはわかるんですが…。
伊豆シャボテン公園の温室にも植えられていました。わずかにトゲが残る様子、表面の傷跡、群生の様子をご覧ください。一本だとアレですが、たくさん生えると普通にサボテンだな、という印象です。
立派な大株ですが、ここまで育つのに何年かかるんでしょうね?
なお損傷によるものではなく単に土に埋まってた部分は、日が当たるようになると緑色が復活するみたいです。次の写真は、植え替えによって地表に露出した根元間際。次第にペリペリと薄皮が剥がれるようになり、下から覗いたのは地上部と同じ緑色でした。
【根の広がり・鉢の形状】
もじゃもじゃなひげ根。それほど深く伸びるわけでもなさそうです。購入後の鉢の中は鉢底石が多めでした。重しや乾燥気味にするためだと思われます。
軽いプラスチックのロング鉢は、非常に倒れやすくなるのでご注意を。病気処置の際は根を全て切ったため傾いてしまい、他の鉢で支えないと危ない状態になってしまいました。
19年5月には重量級の陶器鉢に植え替えました。抜群の安定感はサボテンの力強さを引き立たせますのでオススメです。
繁殖(種・実生など)
-
↓ハートを押して「いいね」いただけると励みになります!