【品種名】
アルブカ フリズルシズル/コンコルディアナ/ゼブリナ/ディルキュラ
【魅力】
南アフリカ原産の冬型球根たち。先客の「ユニフォリアツム」の栽培が楽しくなって、ついアルブカ仲間を探してしまいました。本ページでは以下4種類を紹介します。
フリズルシズル(トップ写真)
非常に強いパーマがかかった園芸品種。葉もさながら、実は春に咲く花も奇妙な形のプロペラ型なんです。鑑賞していて愉快な球根ですよ。
残り3品種の写真はこちら↓。クリックすると開きます。
コンコルディアナ
薄く平たい葉のクルクル。渦のように強く巻くタイプがよく紹介されていると思いますが、我が家のものはツイストの優しいゆる巻きです。
ゼブリナ
地面から生える謎のシマシマ。葉は果てしなく伸びる緑色の棒です。
ディルキュラ
なんでこんな形に…と考えさせられる、波打つ縁どりの葉。小柄でひっそり佇む芸術品のような球根です。
【目次】
お世話(水やりなど)
【我が家での栽培環境】
全体的には同じアルブカ仲間の「ユニフォリアツム」と一緒です。
春と秋:最上階の屋根無し南向きベランダ。直射日光ゾーン(夏のみ白い寒冷紗)、「自作の雨よけ花台」の中、風通し良好。日差しは午前中~午後一くらいまでで、それ以降は日陰となり西日は当たりません。
夏:地上部が無い状態で休眠に入るので、葉が落ちたら掘り上げて夏の終わりまで保管します。本来は掘り起こさず、風通しがよく雨の当たらない日陰に置いておけばいいのですが…自作雨よけはさすがに暴風雨までは防ぎきれません。不運にも悪天候続きで蒸れて腐ってしまわないようにです。
冬:室内退避は葉がだらしなく伸びやすいので、最低気温1℃までは屋外。室内に入れた際は、窓際のレースカーテン越しの光が午前中~お昼過ぎまであたるくらいの場所に置きます。
【水やり】
頻度にして1~2週間おき。どれも葉の形状に膨らみのあるタイプではないため、シワが寄っているかという見た目ではあまり判断できません。地上部も大した重さがないので、鉢を持ち上げたときの重さ、底石の色などが目安です。
葉がよく伸びる時期(9月~12月)は徒長しやすいですが、ガッチリした葉となるには最優先で光量、次点が水、その次に肥料分のように思われます。
休眠となる夏は掘り起こしてしまうので、もちろん水やりはありません。
【用土・肥料】
用土・肥料ページの多肉植物グループに詳しく記載してありますので、ご参考ください。
液肥は秋・春に月1回程度の間隔で施しています。
【病気と害虫】
4品種ともこれといった病気・害虫が発生したことはありません。虫が発生しやすい夏は休眠のため、そもそも地上部がなく結構安心な植物です。蒸れによる腐りの方を注意しましょう。
葉の表面は薄く粉が吹いたようになっているので、できるだけ触れないように。幅が広い葉を持つコンコルディアナ、ディルキュラは特に触った痕が目立ちます。棒状の葉であるフリズルシズルやゼブリナにも微かに粉はあるため、痕がつかないわけではありません。
【主なメンテナンス】
偏って伸びないように定期的に鉢を回す程度。フリズルシズルやコンコルディアナは葉数が多いものの、枯れた下葉を取る作業は休眠前を除きそうそう発生しません。
できるだけ日光に当てるための、鉢のこまめな移動の方が手がかかるかもしれません。
特徴(花・葉・根など)
【開花期】
3月~4月
【花・フリズルシズル】
「ユニフォリアツムの花」とも、本ぺージの他3品種とも異なる、独特の形状をしています。かつ、花茎からつぼみから花びらまで、でかい。
頑丈な花茎の先端に100円玉サイズのつぼみが10個前後つきます。花びらは6枚で、外側3枚が180度近くまで開き、内側3枚は開かずに中の雄しべ雌しべを包むような形で保護しています。全体的に黄色~黄緑色で、縦縞はあるといえばあるといったくらい。1つの花は数日間持ちます。
下向きに咲くので青空にかざして鑑賞するのがおすすめ。クルクル回って飛んでいきそう!横からは竿先に提灯がぶら下がったように見え、なかなかユニークです。
さて、花びらに守られた中を覗いてみると…雄しべは3本だけ花粉のついた葯があります。残り3本の先端は何もなく芯のみ。
中央にはこれまた太い雌しべがあり、子房は目に見えて巨大。雌しべに粘液らしきものはなく、どのあたりで受粉するのかよくわかりませんが…ザラザラした表面に花粉が引っかかればいいのかな?
しかし、どうしてこんな形に進化したものでしょう。何とか花びらを押しのければ虫は雄しべ雌しべの空間に入り込むことはできそうなのですが…もしかしたら、外に出づらくして動き回るうちにコテコテに花粉をつけまくる作戦ですかね。
花芽は存在感があるので、出てきたらすぐにわかります。いつもシュシュッとした葉先が生えてくる株の中心に、円錐状のものが見えたらそいつです。
花茎が伸び、密集していたつぼみが硬貨大にまで膨らんで下を向き始めると開花間近です。
この頃になると、もともとつぼみを覆っていた部位(苞と呼んでいいのでしょうか)も、ほのかにピンク色に染まり、光に透かすと脈も見えるようになります。本来観賞するところではないと思いますが、案外ときれいなものですよ。
【花・コンコルディアナ】
コンコルディアナ、ゼブリナ、ディルキュラの花姿は、「ユニフォリアツムの花」とほぼ同じ。しいて言うなら地の黄色が濃い、くらいですね。
グリーンの縦縞が明瞭に入ったポンポン菓子のようなつぼみがとても愛らしいです。
【花・ゼブリナ】
こちらも先述の通り、ほぼ同じ。根元に縞々の鞘がある関係で、花芽が顔を出しているのには気づきにくいかもしれません。
※次の写真にある白いネームタグは、受粉相手の名前を書いたものですので、誤解されませんよう。手前の鉢がゼブリナ、奥はコンコルディアナ、さらに奥が花芽を出したばかりのユニフォリアツムです。
【花・ディルキュラ】
4月中旬の落葉後に花芽が上がり5月に開花しました。購入後初めての花であり、そういう性質なのかは不明です。つぼみの数もわずかですし、時季外れで生えてきてしまったものと思われます。
写真では花びらが4枚しかありませんが、本来の形は他のアルブカと同じなのでしょう。また来年確認してみます。
【葉・フリズルシズル】
特徴は何といってもこのクルクル!このユニークな形に心を打たれた方も多いはず。日光をしっかり当てることで強いカールが生まれます。
夏の終わり、休眠から目が覚めて芽が顔を出したら日光浴開始。鉢を適宜回してまんべんなく日が当たるようにしましょう。天気予報で雨が降らないことがわかっている日は、雨よけの下ではなく棚の上に置いてから仕事へ行くのです。直射日光どんとこい!
寒さには比較的耐えるので、室内に取り込むのは遅い時期で構いません。迂闊に早く室内退避してしまうと、日光が足りなくなって巻きが半端になってしまいます。
ゆるゆるをそのままにしておいた年の春。さらにワシャワシャになりましたが、花の写真を撮る際にいろんな方向から眺めてみると、あら不思議。
左右対になり渦を巻いて垂れ下がる葉、ツインテールの如し。アニメのキャラクターにこんな髪型をした女の子が出てきそうです。こんな楽しみ方もまた一興。
【葉・コンコルディアナ】
我が家のコンコルディアナは、ゆる巻き・大型タイプなので、巻くは巻くでもスパイラルではなくてツイスト(ねじる)という表現の方が合っているかもしれません。おそらく、もう少し渦巻き感があるタイプの方が皆さんがイメージしているコンコルディアナでしょう。
球根が小さいうちは若干棒に近い形状の葉です(次の写真の手前側)。それでもねじれてはいるようですね。分球して1年目はこんな感じですが、2年目になると親と同じ平たい葉に近づいてきます。
【葉・ゼブリナ】
ゼブリナの名が示すのは、根元にある白と茶色の縞模様をもつ鞘。乾いてパリパリしており強度はないので、不要と思い捨てないようにしましょう。これがこの品種のアイデンティティですから。
なお、鞘は葉が落ちても残るため、休眠期や掘り起こしの際も切り捨てはしません。植え付けも鞘だけ地上に出した状態にします。
葉そのものは濃い緑の棒状で、延々と伸びていきます。おかげでうまく写真に納まりません! 先端はとても傷みやすく常時枯れ込みが進行するものの、それを補うように伸びるため気にせずとも大丈夫。
ただしこの葉、平たい葉が両側から丸まって1本の棒のように見えているだけのようです。よく見ると合わせ目が縦に走っています。
その合わせ目の中に新しい葉があることも。1本だけではないんですね。成長するにしたがって2本目の葉は生え際から浮き上がってくるので、ちょいちょいっと引っ張り出してやりました。
【葉・ディルキュラ】
青白い感じのグリーン、やや厚みをもってうねる縁どり。大ぶりでもなく、直立しているわけでもなく、ただ一枚、自己主張せずそこに佇んでいる。どことなく謎い。こんなやつもいるんだ?と声にしてしまいそうな葉姿です。
根元は細く葉はプラプラします。表面も触らないよう、注意深く扱うのがいいでしょう。
縁どりは緑ではないので、使っている土によっては芽生えがわかりにくいかもしれません。購入翌年は調子を崩したのか、他の球根と一緒に植えても2ヶ月遅れでの発芽。それでも次の年はほぼ同じタイミングで葉が出そろいました。
長さ約7cmまで成長。2年前の購入時と幅が全然違い、1cm程度あります。単に大きくなったからなのか、徒長なのかはわかりません。特徴である縁どりが比較的弱く見えてしまいますが…きれいな緑色が楽しめるのでヨシとしましょう。
【根の広がり・鉢の形状】
小型球根なので2~2.5号鉢が合います。ふせるときは地表から1cm程度土をかぶせますので、そこからもじゃもじゃのヒゲ根が伸びるスペースを考えたら深い鉢がいいでしょう。幅は広くなくても深い鉢はありますよ。
フリズルシズルは我が家に来て4年経ち、(元々大きめだったものの)直径4~5cm近くに育ちました。高さはあまり変わらず横に太っていっており、今や3.5号鉢の住人です。
ゼブリナは鞘が特徴な分、そのガッチリとした基部が球根から伸びています。
繁殖(種・実生など)
【受粉】
どの品種も自家受粉しないようで、別の株が必要と思われます。
しかし相手の品種が異なっても種は作れる模様。せっかくなので我が家では花期が合えば掛け合わせてみることにしています。(でもフリズルシズルだけは品種の差が大きすぎるのか、一向に種ができません。まあ、花の形からしてかなり異なりますからね…。)
受粉、種ができるまで、収穫および保管の様子も「ユニフォリアツムの受粉」以降と同じですので、こちらも是非ご参考ください。
【種】
受粉後に膨らんでくる鞘はなかなかにマッシブ。こんなに大きくなるんだと感心しました。単にこれまで見たことのあるユニフォリアツムが、可愛らしいサイズだけだったのかもしれませんけど。
鞘が茶色くなってくると収穫時期間近です。先端が開いてきたら鞘ごと切って採取しましょう。土などの上に落ちてしまうと見分けがつかなくなるので、こぼさないように!
ゼブリナの種は薄いものの大きな円形。鞘のマッチョさに驚きましたが、種のサイズにもびっくりです。
ちなみにこのトレーに入っているのは鞘2個分。趣味での栽培には十分な量だと思います。花や種を作るにもエネルギーを必要としますので、必要量だけの受粉成功が確認できたら残りの花は切り捨てることにしています。
収穫後はしばらく乾燥させ、乾燥剤を入れてフタをし、冷蔵庫で秋まで保管です。
次の写真はコンコルディアナの種。とある日のお昼、小さな甲虫が閉じかけの花の中でモゾモゾしているのを発見しました。その花から採れた種です。
私自身はその花に対し受粉作業をしていなかったので、虫が動いてたまたま自家受粉しちゃったのか、他のアルブカから花粉を運んできたかのどちらかでしょう。おそらく後者だと思いますが。
【分球】
毎年の掘り起こしの楽しみがこれ。花を盛大に咲かせるとあまり増えませんが、花芽を伸び始めのうちに切ると球根の太りはよいように思います。
我が家のフリズルシズルは、22年に分かれ目が見えない1球の状態で植えたところ…葉と花が2組出てきました。掘り起こすと、球根のど真ん中から分かれかけ。横に子球が生えるのではなく、元々こういうタイプなのでしょうかね?
またそれを植えたら当然の如く葉は2組。翌年の夏には、球根はきっちり分かれるくらいにまで成長しているでしょうか…。
コンコルディアナは年3~4個のペースで増えています。購入時は元々1球だけでしたが、2年後には子球が計8個に。次の写真の子は全て、左の大きい球根から分かれたものです。
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